【スタンデッキ解説】オルゾフ吸血鬼 徹底解説【前編】
M20リリース後使ってきたデッキのなかで最も手ごたえがいいのがこのオルゾフ吸血鬼。せっかくなので解説的な話をさせてもらいたいと思う。

なお例によって長くなったので前編後編に分かれます。


【想定メタゲーム】

Tier1
バントスケープシフト
シミックフラッシュ

Tier1.5
ジャンド恐竜
バント/シミックランプ
エスパーミッドレンジ
シミックネクサス
吸血鬼
スケープシフト亜種(ティムール/スゥルタイなど)

Tier2以下
緑系ミッドレンジ(ティムールエレメンタルなど)
エスパーコントロール
ボロスフェザー
赤単

概ね多い順としてこんな感じを想定。
これを前提としてリストを組んでいるのでご留意のほど。



【オルゾフ吸血鬼を使う理由】

メタゲーム上位に対して高速ビートダウンが最も有効な戦略だから。環境最重量級であるスケープシフトや妨害手段に富んだシミックフラッシュに対してコントロールデッキやミッドレンデッキで四つに組んで戦うのは無謀でしかない。

そしてビートダウンデッキのなかで最も安定して強力なパフォーマンスを発揮できるのがオルゾフ吸血鬼と考えている。



【デッキリスト】

4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel(DOM)》
4《神無き祭殿/Godless Shrine(RNA)》
8《平地/Plains》
7《沼/Swamp》

4《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant(RIX)》
4《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion(M20)》
2《敵意ある征服者/Vicious Conquistador(XLN)》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard(XLN)》
4《軍団の副官/Legion Lieutenant(RIX)》
2《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot(RIX)》
4《薄暮の勇者/Champion of Dusk(RIX)》

3《喪心/Cast Down(DOM)》
1《屈辱/Mortify(RNA)》
4《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord(M20)》
1《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants(M19)》

Side
4《強迫/Duress(M19)》
2《害悪な掌握/Noxious Grasp(M20)》
2《疫病牝馬/Plague Mare(M19)》
1《軍団の最期/Legion’s End(M20)》
1《灯の燼滅/Despark(WAR)》
2《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade(WAR)》
1《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants(M19)》
1《復讐に燃えた血王、ソリン/Sorin, Vengeful Bloodlord(WAR)》
1《ケイヤの怒り/Kaya’s Wrath(RNA)》



【採用カードの解説】

・メイン4枚固定枠

4《空渡りの野心家/Skymarcher Aspirant(RIX)》
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion(M20)》
4《アダントの先兵/Adanto Vanguard(XLN)》
4《軍団の副官/Legion Lieutenant(RIX)》

高速ビートダウンの根幹をなす生物群。これらのカードが弱いと感じるようならそれはもうデッキがメタゲームに合ってない証拠なので吸血鬼は諦めよう。


4《傲慢な血王、ソリン/Sorin, Imperious Bloodlord(M20)》

最強カード。このデッキは3つの能力全てをフルに使う。ほとんどサイドアウトすることがない。
とにかくこのカードが強すぎるがゆえにこのデッキを勧めると言っても過言ではない。コントロール相手に腐らない除去枠であり、全除去されないクロックであり、生物デッキに強いアンセムであり、ライフゲイン装置であり、さらにはコンボパーツでもある。もう滅茶苦茶である。


4《薄暮の勇者/Champion of Dusk(RIX)》

手札で2枚ダブつくリスクもあるが、ソリンとのコンボがあまりにも強力過ぎるので絶対に4。3ターン目ソリン勇者はありとあらゆるマッチアップで最強の動き。またこのカードの存在によって旧来相性が悪いエスパー系のデッキに多少耐性がついている。
ただしソリンとは違いそれなりにサイドアウトすることはある。


・枚数変動枠

4《軍団の上陸/Legion’s Landing(XLN)》

パワーが1しかないので1マナ域としては上位二種からは大きく水をあけられて三番手。頻繁にサイドアウトされる。

反転できるとソリンの弾を簡単に用意できたり《薄暮の勇者》をマナ加速から出すブン回りがあるのでギリギリ4でも許容できるか、程度。シミックフラッシュに対して反転後それなりに機能するのも一応評価できる。


2《敵意ある征服者/Vicious Conquistador(XLN)》

なるべく1T目にクロックを展開したいこのデッキには4種類目の追加の1マナ域が必要。この枠をもっと重いカードにしたいと感じるならやはりデッキがメタに合ってない。

所詮止まってしまえば1/2バニラゆえ1マナ域としては4番手だが、一応のパワー2相当であることに加え、+1カウンターを置くと《肉儀場の叫び》《炎の一掃》に耐えるのが長所。地味に《樹上の草食獣》がいても1点刻めることやフォグで妨害できないダメージ源になることが輝くこともある。それらの理由から《軍団の上陸》よりもサイド後は強いことも多い。

メタゲームとして低速デッキの支配が続くなら《軍団の上陸》よりも2点クロックになることを優先してこちらの3~4枚目を入れることもあるかもしれない。


2《薄暮軍団の盲信者/Dusk Legion Zealot(RIX)》

マナカーブの穴埋めでしゃーなし的に入っている。3Tソリンのお膳立てとしては悪くないがいかんせん後手でこんなのを出してる暇はないことも多くデッキから抜いてしまってもいいのかも。シミック+αカラーの相手と当たるとほぼサイドアウトされる。

現状まだ入っている理由としては対エスパー系と同型に強いから+この構成でもシミック系のデッキには大きく勝ち越せているからである。
ミラーマッチと対エスパーは純粋な生物のみのビートダウンでライフを0にするのは不可能に近くPWと《薄暮の勇者》がマッチアップの鍵になるため、それにアクセスできて除去を問題にしないキャントリップ生物は優秀。4マナソリンかアジャニで釣って細かくアドバンテージを稼ぐことも多い。


3《喪心/Cast Down(DOM)》
1《屈辱/Mortify(RNA)》

除去枠。メタゲームを鑑みてこの構成。後で触れるが、基本的には今は《喪心》が最強除去と見て間違いないと思う。サイドに4枚目を入れたいくらい。


1《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants(M19)》

基本的にメイン戦の理想ムーブには必要ないカード。
苦手なデッキに対してメインワンチャン作るための枠と捉えている。

あとは土地23枚は1マナ域が14枚のデッキとしてはやや多めの枚数なので多少重くても1枚で強いカードが欲しいというのもある。


・サイドカード

4《強迫/Duress(M19)》

黒の嗜み。対コントロールやネクサスはもちろん、ランプ系のデッキもサイド後は《幻惑の旋律》《時の一掃》がキラーカードとして飛んでくるので。


2《害悪な掌握/Noxious Grasp(M20)》

強力な汎用サイドカードではあるのだが、やや過大評価されているきらいがある。というのも今のメタゲームだとたいがい《喪心》で事足りるからだ。

最流行のクリーチャーデッキであるシミックフラッシュ、ジャンド恐竜、ミラーマッチ、これら3つのマッチアップでは《害悪な掌握》はおよそ《喪心》の下位互換。
対シミックでは《塩水生まれの殺し屋》《マーフォークのペテン師》に除去を撃つシーンがあるし、ミラーでは《漆黒軍の騎士》や《薄暮の勇者》が除去できない。一番顕著なのが対ジャンド恐竜で、《無法の猛竜》《オテペクの猟匠》《朽ちゆくレギサウルス》といった非緑の生物が多い(ガルタは出されないように立ち回るのが一番なのであまり関係ない)。

それでも採用している理由は
①《贖いし者、フェザー》を除去
②エスパーの《第1管区の勇士》と《黎明をもたらす者ライラ》をケアしつつテフェリーを落とす
③ネクサスの《生体性軟泥》をケアしつつ《伝承の収集者、タミヨウ》と《樹上の草食獣》に当たる
④《乱動の座、オムナス》を除去
など複数の要因が絡み合っていて一言では表しづらい。


2《疫病牝馬/Plague Mare(M19)》

同型最強カード。《楽園のドルイド》を使うタイプのランプデッキに対してもサイドインすることがある。一応対赤単でワンチャン作る枠でもああるが、まあ勝たんのでそこはあまり気にしないでいい。

黒マナソースが15は少し無理している数字だが同型はこれ1枚で決まるゲームがあまりにも多くリスクを承知で採用。


1《軍団の最期/Legion’s End(M20)》
1《灯の燼滅/Despark(WAR)》

特殊な除去枠。サイドインする相手が限られているのと2枚目が腐ることが多いため1。


1《暴君への敵対者、アジャニ/Ajani, Adversary of Tyrants(M19)》
1《復讐に燃えた血王、ソリン/Sorin, Vengeful Bloodlord(WAR)》

追加のPW枠。主に活躍するのは同型とエスパー。


2《黒き剣のギデオン/Gideon Blackblade(WAR)》

実質エスパーコン専用サイド。エスパーコンに勝ちたいなら2枚では足りないが白マナ16なので止む無しといったところ。スケープシフト全盛の今エスパーコンはそれほど多くはないはず。

相手がサイド後かなりコントロールに寄せてると感じたら対ミッドレンジでもサイドインすることがある。


1《ケイヤの怒り/Kaya’s Wrath(RNA)》

この手のカードをアグロのサイドに入れるのは裏目のリスクも大きいものの、1枚でグルール/ジャンド恐竜に対して逆転劇を演出できるため採用。何ゲームかこれで拾ったが一度たりとも相手にケアされたことがない。(というか今の恐竜デッキは生物しか入ってないのでケアしようがない)


・マナベース

4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel(DOM)》
4《神無き祭殿/Godless Shrine(RNA)》
8《平地/Plains》
7《沼/Swamp》

1マナ域アグロなのでタップイン土地はなし。色総数が増えて安定してもタップインでは意味がない。

最後の1枚が沼なのか平地なのか《手付かずの領土》なのかは悩んでいる。1マナ域の枚数配分が白8黒6なのとメインにアジャニが1枚入っていることから平地にしているが、サイドの《疫病牝馬》が《黒き剣のギデオン》より使用頻度が高いことプラス《軍団の上陸》のサイドアウト率の高さを考慮すると、《沼》か《手付かずの領土》のほうがベターなのかもしれない。




【非採用のカードについて】

・その他の1マナ域生物全般

単純に弱い。たまに見かけるのが《薄暮まといの空渡り》や《凶月の吸血鬼》だが限りなく1/1バニラに近い。


・《聖域探究者/Sanctum Seeker(XLN)》

これで勝てて他の生物で勝てないことはあまりない。ソリンを引けなかった時のもっさり感はどうにも拭えず、また同じマナ域のアジャニと違って戦線が膠着しているところに着地しても何も起こらないため苦手~五部のマッチアップで勝利を引き寄せる力もない。

ソリンを引けてかつ相手が除去を持っていない場合と、そもそも相手が生物に対するガードが低いデッキ(スケープシフト/ランプ系)である場合は強いが、総じてリスクリターンが釣り合っているとは思えない。同じソリンありきのカードならまだ《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ》を勧める。


・《マガーンの鏖殺者、ヴォーナ/Vona, Butcher of Magan(XLN)》

好みでない。強みがあるのは理解はできる。

メリット
①ソリンとコンボするカードが増える
②同型、恐竜、赤単など除去られなけばその瞬間に勝ち確定マッチアップがある

デメリット
①ソリンあきり
②除去られると何もしない&テンポロスが激しい
③色対策除去と《溶岩コイル》に弱い

こんな感じ。


・《不可解な終焉/Baffling End(RIX)》

このカードの利点は《戦慄衆の秘儀術師》《贖いし者、フェザー》を両方除去できる2マナカードであること。白/黒の2マナ除去としてこれを満たすのはこれと《敬虔な命令》しかない。同型でロードとアダントを除去できるのも優秀(同型はソリンでパンプしたアダントが止まらないため)

これが欲しくなるほどフェザーが増えたらデッキの替え時かなと思ってるので非採用。そもそもシミックフラッシュがトップメタの一角である以上除去はできるだけインスタントにしたい。


・《敬虔な命令/Devout Decree(M20)》

ソリンを直接落とせるというだけで同型最強クラスの除去。
かつフェザーと(一応)ジャンド恐竜を見れるので1枚採用はなくはない。


・《ケイヤの誓い/Oath of Kaya(WAR)》《牢獄領域/Prison Realm(WAR)》など3マナ除去

同じ3マナなら明確にネクサスを殺す屈辱を採用すべき。


・《啓蒙/Demystify(XLN)》

《灯の燼滅》をサイドインする相手はメタ上位だとネクサスとジャンド恐竜くらいなので実は儘滅である必要性はそこまでない。

それならこちらを採用する可能性もある。対ネクサスで妨害カードが1マナか2マナなのかは天と地の差だし、《夏の帳》を食らわないという点でも
最強の妨害カードであることに疑いの余地はない。


・《聖堂の鐘憑き/Basilica Bell-Haunt(RNA)》

サイド後のコントロールプラン向けカード。長らく1枚採用していたがこれを数枚採ったところで赤単に五部付くようになるはずもなく、その他のマッチアップでは大抵これより局地的に優れたカードがあるので抜けていった。赤単はノーケアが板。


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前編はここまで。

後編はマッチアップ別のゲームプランとサイドボードガイドになります。

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